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生活保護でゴミ屋敷の片付け費用は出る?家財処分料の条件を厚労省の規定から確認

お役立ち情報 2026.09.10

生活保護を受けていて、部屋を片付けたい。でも、業者に頼むお金がない。
そんなとき、「生活保護で片付け費用を出してもらえる制度はないの?」と思いますよね。

実は生活保護には、条件によって家財の処分費用が認められる「家財処分料」という仕組みがあります。

では、どんな場合なら対象になるのか。今の家に住み続けながら片付けたい場合はどうなのか。いくらまで認められるのか。

ここを知らないまま業者を探したり、自分で「対象外だ」と決めてしまったりするのは、少しもったいないです。

この記事では、厚生労働省の制度と実際の自治体の事例をもとに、家財処分料の条件からケースワーカーへの相談の流れまで整理します。

目次

生活保護ならゴミ屋敷の片付け費用が出る?

生活保護には「家財処分料」という仕組みがあります。
ただし、これは生活保護を受けている人のゴミ屋敷を、一律に無料で片付ける制度ではありません。

ポイントになるのは、部屋の汚れ方ではなく、なぜ家財を処分する必要が生じたのかです。

家財処分料は、長期入院や施設入所などで使われる制度です

厚生労働省の実施要領では、家財処分料の対象として、借家などに住む単身の生活保護受給者が、医療機関や一定の施設へ入院・入所したり、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅へ入居したりするケースを定めています。

そのうえで、

  • 入院・入所・入居の見込み期間が6か月を超える
  • それによって本当に家財を処分する必要がある
  • 敷金の返還金では処分費用をまかなえない
  • ほかからの援助などでも費用をまかなえない

といった条件があります。

つまり、「生活保護を受けている」「部屋がゴミ屋敷になっている」という理由だけで判断されるものではありません。

参考:厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」

ゴミの量や部屋の汚れ具合は、支給条件として書かれていません

「床が見えないくらいゴミがあるなら対象になる?」「天井近くまで物が積まれていたら?」

ゴミ屋敷の片付けなので、部屋の状態が基準になると思うかもしれません。
ところが、厚生労働省の家財処分料の規定には、ゴミの高さや量についての条件はありません。

反対に、いわゆるゴミ屋敷ではなくても、長期入院などによって家財を処分する必要があり、ほかの条件も満たしていれば、家財処分料が認められる場合があります。

「どれだけ汚れているか」ではなく、「なぜ処分が必要なのか」を見る制度なんです。

「退去すること」そのものが条件とも書かれていません

家財処分料について調べていると、「長期入院などでアパートを退去するときに使える」という説明を見かけることがあります。
実際、長く家を離れることで賃貸住宅を引き払い、残った家財を処分するケースは考えられます。

ただ、国の実施要領に「賃貸借契約を解約すること」「必ず退去すること」という独立した条件があるわけではありません。
書かれているのは、6か月を超える入院・入所・入居によって、真に家財の処分が必要になることなどです。

そのため、「退去するなら必ず出る」「退去しないなら絶対に出ない」と単純には分けられません。

今の家に住み続けながらゴミ屋敷を片付けたい場合は?

ここが一番気になっている方もいると思います。
長期入院をするわけではない。施設へ入る予定もない。これからも今の家で生活したい。ただ、ゴミが増えすぎて、自分ではどうにもできなくなっている。この場合はどうなるのでしょうか。

今の部屋をきれいにしたいという理由だけでは、家財処分料の条件にそのまま当てはまりません

国の家財処分料の規定は、6か月を超える入院・入所・入居によって、家財を処分する必要が生じた場合などを対象としています。

そのため、「今後もこの部屋に住む」「入院や施設入所の予定はない」「たまったゴミや家財を一度片付けたい」という事情だけでは、この規定にそのまま当てはまるとはいえません。
ただ、ここで「自分は何も使えないんだ」と決めてしまうのも早いです。

自力では片付けられないこと、生活に支障が出ていること、業者へ頼む費用を用意できないことまで含めて、福祉事務所へ今の状況を伝えてください。
家財処分料の対象になるかだけでなく、そのほかに相談できる支援がないかも含めて確認できます。

生活保護に限らず、片付け費用を用意できないときの選択肢はこちらの記事でも詳しく紹介しています。

夫婦や親子で暮らしている場合も、単身者と同じ条件とは限りません

家財処分料の規定には、対象として「単身の被保護者」と書かれています。
そのため、夫婦や親子など複数人で暮らしている世帯について、単身者とまったく同じ条件で認められるとはいえません。

「一人暮らしじゃないから無理だ」とネットの情報だけで決めるのではなく、家族構成も含めて福祉事務所へ伝えた方がいいでしょう。

実際に「ゴミが堆積した家」で家財処分料が検討された例もあります

制度の文章だけを読んでも、実際にどんな場面で使われるのかイメージしづらいですよね。
関東では、千葉市が公開している資料の中に、今回のテーマに近い事例があります。

千葉市では、生活保護受給者の残置物を家財処分料で対応する方向に

千葉市の「福祉まるごとサポートセンターについて」という資料には、自宅内にゴミが堆積している生活保護受給者についての相談事例が掲載されています。

本人も在宅で暮らし続けるのは難しいと考え、グループホームへの入居を検討していました。市が本人宅を訪問したところ、ボランティアへ片付けを頼める状態ではないことを確認。

そのうえで、グループホームへの入居を優先し、残置物の処分は家財処分料で対応する方向で進めるとされています。

ゴミがたまった家でも、実際に家財処分料が検討されていることがわかる事例です。ただし、この方はグループホームへの入居を考えていました。

「今の家に住み続けながら、ゴミ屋敷だけを片付けてもらった事例」ではありません。ここは分けて考えてくださいね。

参考:千葉市「福祉まるごとサポートセンターについて」※資料内「主な相談事例3」

家財処分料はいくらまで出る?

「対象になりそうなのはわかった。でも、いくら出るの?」

次に気になるのは金額だと思います。家財が多ければ、片付け費用が数十万円になることもあります。では、家財処分料には上限があるのでしょうか。

「全国一律○万円」という決まった金額ではありません

厚生労働省の実施要領では、条件を満たす場合に、家財の処分に必要な最小限度の額を認定できるとしています。

規定の中に、「全国一律10万円」「上限30万円」といった定額は示されていません。だからといって、片付け業者から出された金額なら、そのまま全額認められるわけでもありません。

本当に家財を処分する必要があるのか。敷金の返還金や、ほかからの援助で支払えないのか。そうした事情も含めて判断されます。

「家財の処分費」と「ゴミ屋敷の清掃費」は分けて考えた方がいい

ゴミ屋敷の片付けを業者へ頼むと、見積もりにはいろいろな作業が入ることがあります。家財やゴミの仕分け、搬出、処分だけでなく、部屋の清掃や消臭、状態によっては害虫への対応も必要です。

一方、国の実施要領に書かれているのは「家財処分料」です。そのため、「業者の見積もりが30万円だから、30万円すべて家財処分料として認められる」とは限りません。

見積もりを取るよう言われたら、何にいくらかかるのかわかる形にしてもらい、「このうち、どこまでが対象になりますか」とケースワーカーへ確認しておく方がいいでしょう。

一般的なゴミ屋敷の片付け費用については、間取りや物量ごとの目安をこちらで紹介しています。

ケースワーカーには、何を話せばいい?

制度について調べているうちに、「家財処分料って言わないといけないのかな」「ゴミ屋敷だと話すのが恥ずかしい」と、相談すること自体が重くなってしまう方もいるかもしれません。でも、制度名を覚えてから相談する必要はありません。

「家財処分料」という言葉を知らなくても相談できます

たとえば、

  • 長期間入院する予定があります
  • 部屋に家具やゴミがたくさん残っています
  • 自分では処分できません
  • 業者へ頼むお金もありません
  • 使える制度はありますか

このくらいから話せば十分です。

制度名を正しく言うことより、今どんな状況にあって、何に困っているのかを伝える方が先です。

相談するときに伝えられると話が進みやすいこと

ケースワーカーには、わかる範囲で次のようなことを伝えておくと状況を共有しやすくなります。

  • 一人暮らしか、家族と暮らしているか
  • 借家かどうか
  • 入院・入所・入居の予定があるか
  • どのくらいの期間になる見込みか
  • なぜ家財を処分する必要があるのか
  • 敷金が返ってくる予定があるか
  • 家族などから費用の援助を受けられるか
  • 家財やゴミがどのくらい残っているか

全部そろえてから相談しなければならない、という意味ではありません。わからないことは、ケースワーカーに聞きながら一緒に確認していけばいいんです。

ケースワーカーへの相談から片付けまで、どんな順番で進む?

家財処分料を使えるかもしれないとわかると、「じゃあ、とりあえず片付け業者に見積もりを頼めばいい?」と思いますよね。ここは順番を先に知っておいた方が安心です。

必要な書類や手続きは自治体によって異なる場合があるため、実際には担当の福祉事務所から案内された方法で進めてください。

① 今の状況をケースワーカーへ相談する

最初に、「家財を処分する必要がある」「自分だけでは対応できない」「費用を用意するのが難しい」という状況を伝えます。この段階で、自分のケースで家財処分料を相談できるのか聞いておきましょう。

② 見積もりが必要か、何社から取るのかを聞く

対象になる可能性があると言われたら、次は必要な手続きを確認します。

  • 見積書は必要ですか
  • 何社から取ればいいですか
  • 見積書にはどこまで内訳が必要ですか
  • 業者と契約していいのは、どの段階ですか

このあたりを聞いておけば、あとでやり直す手間を減らせます。

③ 必要と言われたら業者へ見積もりを頼む

見積書が必要と言われたら、そこで片付け業者へ依頼します。その際は、「生活保護の家財処分について福祉事務所へ相談していて、提出する見積書が必要です」と伝えておくと、業者側も目的がわかります。

可能であれば「片付け一式○万円」だけでなく、作業内容と金額がわかる見積もりにしてもらえるか聞いてみてください。

④ 見積もりをケースワーカーへ見せ、契約していいか確認する

見積書をもらったら、そのまま契約するのではなく、一度ケースワーカーへ見せます。

  • この内容で進めていいですか
  • この金額のうち、どこまでが対象になりますか
  • もう作業をお願いしても大丈夫ですか

と確認してから進める方が安心です。家財処分料は、条件を満たせば後から自動的に返金される、という説明にはなっていません。

先に作業を終えてから困らないよう、申請や契約の順番は担当ケースワーカーに確認してください。

関東の自治体では、家財処分料をどう案内している?

実際の自治体の案内も見てみましょう。千葉県佐倉市の「生活保護のしおり」には、一時扶助の一つとして家財処分料が掲載されています。

佐倉市では「まず相談」を案内しています

佐倉市の資料では、家財処分料について、借家住まいの人が医療機関や介護施設などへ長期入院・入所する場合などの費用として案内されています。

同じ資料では、一時扶助について、まず社会福祉課へ相談するよう案内されています。また、支給にあたって、見積書や領収書などの書類が必要になる場合があることも記載されています。

「先に自分で全部手配して、あとから聞けばいい」という制度ではないことが、自治体の案内からもわかります。

参考:佐倉市「生活保護制度について」

これは佐倉市の案内です。必要な書類や具体的な進め方まで、全国の福祉事務所がすべて同じとは限りません。
自分の場合の手続きは、担当ケースワーカーへ確認してください。

長期入院なら、家財を捨てずに保管できる場合もあります

長く家を離れるとしても、家具や生活用品を全部捨てたいとは限りませんよね。
退院したあとにまた使う予定があるなら、「処分」だけでなく「保管」という方法もあります。

家財処分料とは別に「家財保管料」があります

厚生労働省の実施要領には、「家財保管料」という規定もあります。

医療機関や一定の施設などへ入院・入所している単身の生活保護受給者で、やむを得ない事情から家財を自宅以外へ保管する必要があり、その費用をほかからの援助などでまかなえない場合が対象です。

原則として、入院・入所後1年間を限度に月額14,000円とされています。
長期入院が明らかな場合などには例外もあります。

そのため、「6か月を超える入院なら、家財を全部捨てるしかない」というわけではありません。

退院後に使いたい家具や生活用品があるなら、処分する前に、「保管という方法は使えませんか」とケースワーカーへ聞いてみてください。

「自分の場合はどうなる?」と思ったら、まず条件を確認してみてください

生活保護には、条件によって家財の処分費用が認められる「家財処分料」があります。ただし、見るのは「ゴミ屋敷かどうか」だけではありません。

単身かどうか。借家なのか。長期入院や施設入所などの予定があるのか。なぜ家財を処分しなければならないのか。こうした事情によって判断されます。

金額も全国一律ではなく、国の実施要領では、家財の処分に必要な最小限度の額を認定できるとされています。

だからこそ、自分で「出る」「出ない」を決めてしまう前に、一度条件を確認してみてください。

そして、自分にも当てはまるかもしれないと思ったら、今の部屋の状態や家財を処分しなければならない事情、費用に困っていることを担当ケースワーカーへそのまま伝えてみる。

そこから必要な手続きや見積もりの取り方を確認するのが、一番わかりやすい進め方です。

この記事の執筆者

中島 健太 株式会社ウルタロウ 代表取締役

2017年の創業から9年、片付け・不用品回収の現場に立ち続けてきました。これまで関わった現場は2,000件以上。近年はゴミ屋敷・汚部屋の片付けに力を入れていて、難易度の高い現場には今も代表の中島が自ら足を運んでいます。ワンルームの汚部屋から、足の踏み場もない重度のゴミ屋敷、害虫や強い臭いを伴う現場まで、関東全域でさまざまな状態の部屋を見てきました。何百件と現場を見てきたからこそわかる「ネットの情報と、実際の片付けのギャップ」を、このコラムでは包み隠さずお伝えしています。片付けられずに一人で抱え込んでいる人が一歩を踏み出せること。それがオカタシを続けている理由です。

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