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部屋が片付けられないのは、うつ病のせい?|ゴミ屋敷とこころの関係
部屋がゴミで埋まっていく。片付けなきゃいけないのは、自分でも分かっている。でも、どうしても体が動かない。
そして、そんな自分を「なんてダメなんだ」と責めてしまう。
うつのときに部屋が片付けられないのは、あなたが怠けているからではありません。
心が落ちているとき、片付けは「やらない」ではなく「できない」に変わります。
ただ、「じゃあ、どうすればいいのか」は状態によってかなり違うんです。
ネットでよく見る片付け術が、今のあなたには一つも刺さらないこともあります。
この記事では、これまで1,000件以上の片付け現場に立ってきたオカタシ代表の中島が、心が弱っている人の部屋で実際に何が起きているのか、どこから手をつければいいのかを、現場で見てきたことをもとにお話しします。
目次
片付けられないのは、あなたが怠けてるからじゃない
片付けられないのは、性格でも、だらしなさでもありません。
心が落ちているときの「片付けられない」は、根性でどうにかなるものじゃないんです。
元気なときなら5分で終わるゴミ出しが、うつのときは数週間できないことがあります。
これは「サボっている」のとはまったく別もので、体と心がエネルギー切れを起こしている状態です。
本人が一番「やらなきゃ」と思っているのに、その指令が体に届かない。そういう感覚に近いです。
「ゴミに囲まれてた方が、なぜか落ち着く」という時期がある
意外に聞こえるかもしれませんが、心が弱っているとき、ゴミや物に埋もれた部屋の方がかえって落ち着く、という人がいます。
以前うちで片付けさせていただいた女性が、終わったあとにこう話してくれました。「ゴミの中で生活している方が、あの頃は落ち着いてたんです」と。
物に囲まれている方が安心する時期が、確かにあったそうなんですね。
これは決して特殊な感覚じゃありません。
外の世界がしんどいとき、物の壁が自分を守ってくれているように感じる。散らかった部屋が、唯一気を張らなくていい場所になっている。
だから片付けに気持ちが向かないのは、ある意味で心が自分を守ろうとしている反応でもあるんです。
まず、「片付けられない自分はダメだ」という考えだけは、いったん横に置いてください。
そこを責めても、部屋は1ミリも片付きません。
うつっぽいと、なぜ部屋がゴミ屋敷になっていくの?
うつっぽくなると部屋が荒れていくのは、「片付ける気力」と「物事への関心」が同時に落ちるからです。
やる気が出ないだけでなく、汚れ自体が気にならなくなっていきます。
順番としては、だいたいこうです。最初はゴミ出しが面倒になる。次に、出し忘れたゴミが溜まっても気にならなくなる。そのうち、足の踏み場がなくなっても「まあいいか」になる。
一気にゴミ屋敷になるというより、気力と関心がじわじわ削られていった結果なんですね。
最初は、ちゃんと片付けようとしていた人がほとんど
ゴミ屋敷になった部屋の住人は、最初から諦めていたわけではありません。
むしろ逆で、最初はちゃんと片付けようとしていた跡が残っていることが多いんです。
うちの現場スタッフがよく言うんですが、荒れた部屋に入ると、途中まで使われたゴミ袋が出てくることがあります。
最初は自分で袋を買ってきて、ゴミをまとめて、部屋の隅にポンと置いていた。でも、その「袋にまとめる」ことすらできなくなって、だんだん投げ置くだけになり、最後はそれもできなくなる。
その袋の跡を見ると、「この人、ちゃんと頑張ろうとしてたんだな」というのが分かるんですよ。
だから今ゴミに埋もれている人も、過去にちゃんと戦った時期があったはずなんです。
汚れを「見ない」ことで、心を守っている時もある
うつの状態だと、部屋の汚れを見ないようにすることで、心のHPを守っていることがあります。
汚れているのは分かっている。でも、それを直視すると「こんな部屋に住んでいる自分」と向き合うことになる。それがしんどいから、見ないようにする。
電気をつけずに暗いまま過ごす人もいます。実際、「うつで部屋を真っ暗にして暮らしていた」と話してくれた方もいました。
これも怠けではなく、しんどさから自分を守る反応の一つなんです。
これってうつ病?ただ面倒なだけ?の見分け方
正直に言うと、これは片付け業者である私には診断できません。
うつかどうかを判断できるのはお医者さんだけで、ここで言えるのは「現場で見てきた傾向」だけです。
そこは先にはっきりさせておきます。
その上で、片付けの現場でたくさんの方を見てきて感じる違いはあります。
「ちょっと面倒で溜めちゃった」のと「心が落ちて動けない」のとでは、部屋の空気が違うんですね。
片付けの現場で「これはちょっと違うな」と感じるとき
単なる片付け不足と、心の不調が背景にある部屋とでは、現場の感覚として違いがあります。
面倒で溜めただけの部屋は、きっかけさえあれば本人がわりとサッと動けます。
一方、心が落ちている部屋は、生活そのものが止まっていることが多いんです。
食べかけのお弁当がそのまま青くなっていたり、何日も同じ場所から動いていない感じがあったり。
「ゴミが多い」というより「生活が止まっている」。そういう部屋は、片付けだけでは根っこが解決しないことがあります。
夜勤や不規則な仕事で生活リズムが崩れている方、家から出られなくなっている方にも、この傾向はよく見られます。
迷ったら、片付けより先に病院でもいい
もし「自分はうつかもしれない」と少しでも思うなら、部屋の片付けより先に、心療内科や精神科に行ってみるのも一つの選択です。
順番は、片付けが先じゃなくて構いません。
「眠れない」「何にも興味が持てない」「食欲がない」「体がだるくて動けない」。こういう状態が2週間以上続いているなら、片付けの前に一度お医者さんに相談してみてください。
心の方が少し回復すると、片付けに向かうエネルギーも戻ってきます。順番を間違えると、片付けても片付けても気持ちがついてこない、ということになりかねません。
ゴミ屋敷を放っておくと、心まで重くなる
ゴミ屋敷を放っておくと、心の状態までさらに悪くなる「負の連鎖」に入ることがあります。
部屋の荒れが心を削り、心が削られてまた片付けられなくなる。この繰り返しが一番こわいんです。
本来、家は一日の疲れを癒す場所です。その家がゴミに埋もれていると、帰っても気が休まりません。
休まらないから回復が遅れて、回復しないからまた荒れる。片付けの問題が、いつのまにか心の問題と絡まり合っていきます。
先ほどの女性も、片付いたあとに「ゴミを溜めることと自分の精神状態が、こんなに関係あると思っていなかった」と話していました。渦中にいるときは、その連鎖に自分では気づけないものなんですね。
夏場は一気に進む。匂いと虫の話
ゴミ屋敷は、夏場に一気に状態が悪化します。気温が上がると生ゴミの腐敗が進み、匂いと虫が一気に増えるからです。
うちのスタッフがよく言うのは、暑くなってくると異臭がどんどん強くなって、周りの住民の方から苦情が出始める、ということ。
実際、ゴミから出たボヤで消防が出動した現場もありました。ドアを開けた瞬間の匂いで、だいたいの状態が分かるくらいです。
脅すつもりはないんですが、放っておくほど片付けは大変になり、お金もかかります。
心に少しでも余裕があるうちに動けると、本当はそれが一番楽なんです。
うつ病で部屋が荒れたとき、どうすればいい?
うつ病で部屋が荒れたときに一番やってはいけないのは、「全部を一人で、一気に片付けようとすること」です。
元気なときでも大変な作業を、エネルギー切れの状態で完璧にやろうとすると、確実につぶれます。
やることは逆で、ハードルをとことん下げることです。今日はゴミ袋を1つ縛るだけ。
それも無理なら、カーテンを開けて光を入れるだけでもいい。
「これくらいでいいの?」というレベルまで下げて大丈夫です。
きっかけは「点検」や「退去通告」でいい
「自分の意志で片付けを始められない」と落ち込む必要はありません。
片付けに動き出すきっかけは、本人の決意よりも、外からの事情であることの方が多いんです。
うちに来るご依頼を見ても、片付けを始めるきっかけは「自分で耐えられなくなった」ことと並んで、エアコンが故障したけど業者を呼べない、アパートの点検がある、近隣からクレームが来た、管理会社から退去を迫られた、といった外的な事情が大半を占めます。体感では7割くらいがそうです。
自分から動けなくても、何かのきっかけで動ければそれでいい。きっかけ待ちの自分を、責めなくて大丈夫です。
家族にできるのは、片付けることより「責めないこと」
家族や周りの人ができる一番大事なことは、片付けを手伝うことよりも、本人を責めないことです。
「なんでこんなになるまで放っておいたの」は、本人が一番自分に向けて言っている言葉だからです。
うつの人は「周りに甘えてはいけない」「迷惑をかけたくない」と考えがちです。
だから、本人から「助けて」と言い出すのを待つより、周りからそっと手を差し伸べる方がうまくいきます。
手伝うときも、本人の調子がいい日を選んでください。調子には波があるので、悪い日に無理にやらせるのは逆効果になります。
それと、もう一つ大事なことがあって。良かれと思って勝手に物を捨てるのだけは、やめてあげてください。
よかれと思った「勝手に捨てる」が一番危ない
家族が手伝うとき、本人に確認せずにどんどん捨てるのは避けてください。
ゴミにしか見えない物の中に、本人にとって大切な物が混ざっていることがあるからです。
うちが「一緒に片付けサービス」を始めたのも、これが理由です。
他人から見たらただのゴミでも、本人にとっては推しのグッズだったり、思い出の品だったりする。
袋に入れて運び出してしまうと、もう探せません。「それ、捨てないで」と後から言われても遅いんですね。
家族が手伝う場合も、「これ要る?要らない?」と一つずつ本人に聞きながら進めてください。
手間はかかりますが、これをやらないと、片付けが新しい傷になってしまいます。
片付いた部屋は、こころにも効く
片付いた部屋には、想像以上に心を軽くする力があります。
これは精神論ではなく、現場で何度も見てきたことです。
ゴミに埋もれていた床が見えた瞬間、お客様の表情が変わるんですね。
ある女性のお客様が、片付けが終わったあとにこう話してくれました。
「希望なんて何もなかった私が、洗濯機を買おう、アロマを置こう、布団を新しくしようって思えるようになった」と。
それまでは「寝に帰ってくるだけの場所だから、ゴミがあっても関係なかった」と言っていた人が、片付いた途端に「家に帰りたい」と思えるようになる。
綺麗な部屋は、人を変える力があるんです。本人がそう言っていました。
もちろん、片付けたら病気が治る、という単純な話ではありません。
ただ、心が回復していくための「土台」にはなります。
帰る場所が整っていることは、思っている以上に大きいんです。
それでも一人では難しいと感じたら
ここまで読んで、「やっぱり自分一人じゃ無理かもしれない」と感じたなら、それは正しい感覚です。
心が落ちているときの片付けは、一人でやろうとすると本当にきついので、誰かの手を借りていいんです。
恥ずかしいと思う必要もありません。うちに相談に来る方も、最初はみんな「こんな部屋、見せたくない」と言います。
でも、片付けのプロは部屋の状態で人を判断したりしません。
むしろ、その状態から勇気を出して相談してくれたことを、すごいことだと思っています。
お部屋を人に見られたくない方のために、女性スタッフの対応や、立ち会いなしでの作業、ご近所に気づかれにくいやり方も用意しています。
一緒に少しずつ片付けることもできます。
お金のことが不安なら、頭金なしの分割払いにも対応しています。
「これ、いくらかかるんだろう」が不安なら、LINEで写真を送ってもらえれば、だいたいの金額をお伝えできます。いきなり依頼しなくて大丈夫です。まずは話を聞かせてください。
一人で抱え込まないこと。それが、ここから抜け出す最初の一歩です。
